「日本と米国は真の『同盟国』ではありません。日本は米国の『人質』なのです」――。
映画『スノーデン』のプロモーションのため来日していたオリバー・ストーン監督が2017年1月18日、都内某所で会見を開き、記者からの質問に応じた。ストーン監督の最新作は、米国政府が国際的な巨大監視プログラムを構築している実態を暴いた元NSA(米国国家安全保障局)職員のエドワード・スノーデンの実話を映画化したもの。
もし、日本が米国の同盟国をやめれば、日本中の電源が落ちるように、米国政府は日本中のインフラに有害ソフトを仕掛けたと劇中、証言したスノーデン氏。IWJ代表の岩上安身はトップバッターでストーン監督に質問し、スノーデン証言の真偽を問いただした。
ストーン監督は岩上安身の質問に対し、「ここに目覚めている人がいて嬉しいです。その通りです。ヨーロッパや米国にも行きましたが、誰もこんな質問をしてくれませんでした」と、ビビッドな反応を示し、真剣な口調で質問に回答した。
ストーン監督はスノーデン氏の話をもとに、有害ソフトが仕掛けられているのは日本だけではなく、ブラジルやメキシコ、ヨーロッパ諸国も同様だと話し、さらに、巨大な監視システムで世界を監視している米国によって、「サイバー戦争」の時代へと突入しているとも指摘した。
トランプ新大統領誕生後、安倍総理はことあるごとに「日米同盟の強化」をうたい、2月10日に行われる日米首脳会談では「日米同盟は揺るがないというメッセージを世界に向けて発信したい」と述べている。
しかし、ストーン監督は、米国にとって真の「同盟国」など存在せず、事実上、日本は米国の「人質」にすぎないと警鐘を鳴らした。さらに『スノーデン』を通して、日本が置かれている状況の深刻さについて理解を深めてほしいと呼びかけた。
以下、岩上安身や他社記者に対するストーン監督の回答を全文翻訳し、掲載します。
1月20日に召集された今国会で、与党は「テロ等準備罪(共謀罪)」を提出すると見られ、日本も気づかぬうちに監視国家へと近づいている。その恐ろしさについて、2016年12月26日、岩上安身は、日本人として初めてエドワード・スノーデン氏にインタビューをしたジャーナリスト小笠原みどり氏に訊いた。こちらの記事も併せてご参照いただきたい。